介護現場でのレクリエーション等でVRの活用が広がる一方、高齢の利用者が装着している「ペースメーカー」への影響を心配する声があります。この記事では、VR機器がペースメーカーに与えうる影響や総務省等の安全指針、導入時に必須となる同意書を用いたリスク管理について解説します。
介護施設でのレクリエーションや疑似体験などで活用されるVR機器ですが、使用に際しては医療機器への干渉リスクを正しく理解しておく必要があります。VRヘッドセットやコントローラーには、磁場や電磁波を発生させる磁石などの部品が含まれており、これらが心臓ペースメーカーなどの動作に影響を与える可能性があります。
VR機器メーカーのMeta社なども公式に警告を発しており、ペースメーカー等の医療機器を使用している場合は、事前に医師へ相談するなどの注意喚起が行われています。
VRゴーグル本体や手に持つコントローラーの内部には、機器の動作に必要な磁石や電子部品が組み込まれています。これらの部品から発生する磁場や電磁場が、心臓ペースメーカーや除細動器といった医療機器の正常な動作を妨げる恐れがあるのです。
とくに、コントローラーを胸元に近づけるような動作をともなうプログラムでは、機器間の距離が近くなるため注意が必要です。
Meta Questなどの主要なVR機器メーカーは、健康と安全に関する公式な警告のなかで、磁気部品が医療機器に干渉する可能性を明記しています。
ペースメーカーや補聴器などの埋め込み式医療機器を使用している方に対しては、VR機器の使用前に医師や医療機器メーカーに相談することを強く推奨しています。少しでも干渉が疑われる場合には、ただちに使用を中止すべきとされています。
電波を発する機器を使用する際の安全基準として、総務省の指針が参考になります。この指針では、スマートフォンなどの電波を発する機器は、植込み型心臓ペースメーカーの装着部位から「15cm以上離して携行および使用する」ことが推奨されています。
また、医療機関からも「スマートフォンと体内式人工ペースメーカーとの距離が近すぎると、ペースメーカーの動作に影響を与える恐れがある」と注意喚起されています。
VR機器を使用する際も、この「15cm」という基準を念頭に置き、機器本体やコントローラーが胸部に近づきすぎないよう配慮することが重要です。
介護現場でVRを安全に活用するためには、利用者への配慮と徹底したリスク管理が不可欠です。機器の特性上、VR酔いによるふらつきや転倒、そしてペースメーカーへの干渉といったリスクが想定されます。
これらのトラブルを未然に防ぐためには、実施前の体調確認フローの構築と、同意書(説明文書)を用いた運用体制を整えることが重要となります。
VR体験を提供する前には、ペースメーカー等の医療機器を装着しているかどうかの事前確認フローを必ず設けましょう。あわせて、当日の体調や気分に問題がないかもチェックし、少しでも不安要素がある場合は体験を見合わせる判断が必要です。
VR体験を実施するにあたっては、想定されるリスクと対応策を明記した同意書を用意し、参加者やご家族から事前に承諾を得る運用が求められます。
同意書には、プログラムの目的をはじめ、VR酔い等のリスク、体調不良が認められた場合の参加中止条件などを明文化しておきます。口頭での説明とあわせて書面を提示することで、双方が納得した上で体験へ臨むことができます。
VR機器には磁石等の部品が含まれており、ペースメーカーなどの医療機器に影響を及ぼす可能性があります。介護現場でVRを導入する際は、メーカーの注意喚起や総務省の指針(15cm以上の距離確保)を念頭に置いた安全管理が求められます。
安全なプログラム運営のためには、事前の体調・医療機器装着の確認と、中止条件などを明記した同意書の取得を徹底し、適切な運用体制を整えましょう。
介護向けVRは、利用者の機能訓練に使うものもあれば、職員教育や対応力向上に活用するものもあり、製品によって目的や使い方が大きく異なります。
そのため当メディアでは、「誰に使うか」という観点でVR製品を整理し、介護現場での活用方法や導入時のポイントを紹介しています。
自施設に合った介護VR製品選びの参考にしてください。
介護分野におけるVR製品はまだ数が多くありません。利用者・入居者用の製品は楽しみながら続けられる「継続性」や転倒リスクなどに配慮した「安全性」、介護職員用の製品は実際の現場を疑似体験できる「リアリティ」、研修の学びを次に活かす「再現性」、それぞれの観点から適した製品を紹介します。