介護現場でのVR導入にあたり、高齢者の「眼精疲労」や映像刺激による「光過敏性発作」のリスクが懸念されます。本記事では適切な使用時間や休憩の取り方、てんかん既往歴のある方への対応方針を解説します。
VR機器を利用したプログラムでは、没入感の高い映像体験ができる反面、映像の刺激や機器の装着による健康リスクへの配慮が不可欠です。VRゴーグルの不適切なフィット感や長時間の連続利用は、目の乾燥を招き、眼精疲労を引き起こす原因となります。
さらに、Meta社の公式警告によると、VR映像に含まれる閃光や特定のパターンなどの刺激により、激しいめまい、目や筋肉のけいれん、失神、発作に見舞われる危険性があるとされています。この発作のリスクは約4,000人に1人の割合で発生し、過去に発作やてんかんの既往歴がない方であっても症状が現れる可能性があるため、施設側は十分な注意が必要です。
VR利用による眼精疲労や不快感を防ぐためには、適度な休憩を取らずに長時間使用し続けることを避けるのが最も重要です。VRゴーグルの画面を見つめている間は、まばたきの回数が減少しやすくなり、目が乾燥して疲労や痛みを引き起こしやすくなります。
具体的な対策として、米国眼科学会が推奨する「20-20-20ルール」を運用に取り入れることが効果的です。これは、「20分ごとに、20フィート(約6メートル)先にあるものを、20秒以上見つめる」という休憩の目安です。
介護現場でVRプログラムを実施する際も、こうした基準を参考にこまめに目を休める時間を設け、不快感や副作用のリスクを抑えるルールを設定しましょう。
VRをリスクを減らして活用するためには、高齢者や健康不安を抱える利用者への慎重な対応が求められます。特に、過去にてんかんや意識喪失、発作に関連する症状を経験したことのある方や、心臓疾患などの重い病気にかかっている方は、VR機器を使用する前に必ず医師に相談するよう求めることがメーカーの安全指針でも推奨されています。
施設側は、VR体験前に問診や健康チェックを行い、既往歴や当日の体調を正確に把握する体制を整える必要があります。また、体験中はスタッフが利用者の様子を間近で観察し、めまいや目のけいれん、顔色の変化など、少しでも不快感や身体的な異常が見られた場合には、直ちに使用を中止させて休息を促すルールを徹底してください。
介護分野におけるVR製品はまだ数が多くありません。利用者・入居者用の製品は楽しみながら続けられる「継続性」や転倒リスクなどに配慮した「安全性」、介護職員用の製品は実際の現場を疑似体験できる「リアリティ」、研修の学びを次に活かす「再現性」、それぞれの観点から適した製品を紹介します。