介護VRは、旅行やレクリエーション、機能訓練、職員研修などに使われています。ただ、同じ「VR」でも、ゴーグルを一人ずつ装着するもの、みんなで映像を見るもの、体を動かすものでは、施設での使い方がずいぶん違います。
ここでは実際の取り組みを、「何をしたかったのか」「どう使ったのか」「体験後にどんな声があったのか」に沿って紹介します。自分たちの施設に近い使い方を探してみてください。
使い方は大きく三つあります。景色を楽しむレクリエーション、映像や課題に合わせて体を動かす機能訓練、そして職員が介護場面を学ぶ研修です。まず目的を決めると、必要な機器や場所を考えやすくなります。
半日型のBESTジム小茂根本店は、歩行を中心に据えたサービスを2026年8月に始めました。立位を支える「スペースワンダー」を装着したままVRで歩行訓練を行い、マシンなども組み合わせています。VRだけで訓練を完結させる形ではありません。
リハビリ特化型デイサービスでは、歩行訓練やバランス訓練など、機能訓練におけるVR活用が進められています。継続的に取り組みやすい環境づくりの手法や、導入時の運用ポイント・注意点について整理しました。
利用者向けだけでなく、職員がVRを使う例もあります。センデン株式会社が掲載する豊島区のデイサービス職員の話では、緊急時やヒヤリハットを口頭で説明するだけでは、新人に現場の感覚が伝わりにくいことが悩みでした。そこで、利用者の動きや介護場面をVRで見て、予習・復習に使っています。
職員は、利用者の視点で考える機会になったとも話しています。施設名は公開されていませんが、導入前の困りごとと、現場での使い道が分かる事例です。
デイサービスでは、レクリエーションのマンネリ化解消や利用者満足度の向上を目的に、VR/MRの導入が広がっています。以下のページで解説している内容は、導入によるメリットや運用時の注意点、現場で管理しやすい製品の選び方です。
サ高住癒しの森では、面会や外出が難しかった時期に、入居者に旅行気分を味わってもらおうとVRを試しました。最初はスマートフォンとゴーグルを使用。体験した方からは昔行った場所を懐かしむ声が出ました。一方で、ゴーグルを着けた本人にしか映像が見えないことが気になり、テレビ画面でも共有できる方法を試しています。
2021年の施設日記に載った試行例です。大勢で使うなら、体験者以外も映像を見られるかが、会話のしやすさを左右します。
サ高住のサポートテラス開明では、2026年8月にECCのVR旅行イベントを実施しました。壁やスクリーンに水族館や花火などの映像を映す方式で、参加者はゴーグルを着けません。提供会社が公表した当日の声には、旅行の思い出を振り返ったというものがあり、施設担当者も会話が増えた様子を伝えています。
これは一度のイベントでの感想です。継続利用の結果ではありませんが、複数人が同じ映像を見て話せる形を知る材料になります。
シニア向け住宅「グランクレール」シリーズでは、外出機会が限られる入居者向けに「RehaVR」を採用しました。360度の景色を楽しみながら足元のペダルをこぐ方式で、旅行気分と運動を一つの活動にしています。
サ高住・有料老人ホームでは、VR/MRを活用した旅行体験や回想、軽運動などを通じて、日常に変化を取り入れています。以下のページでは、サ高住でVRが有効とされる理由や、相性の良い施設の特徴といった情報をまとめました。
送迎、食事、入浴、訓練などの予定があるため、準備や交代に時間がかかると使いにくくなります。個別体験なら待っている方の過ごし方も考えておきたいところです。
一人で静かに見る旅行映像と、みんなで画面を囲むイベントでは、向いている時間帯や職員の関わり方が異なります。入居者の好みや体調に合わせて選べることが大切です。
歩行を練習したいのか、腕を動かしたいのか。目的によって必要な機器が変わります。VRを導入すること自体を目標にせず、普段の訓練にどう加えるかを考えます。
まずは「誰が、何を、どこで体験するか」を具体的にします。旅行レクなら映像を周囲と共有できるか、機能訓練なら姿勢をどう支えるか、研修ならどの場面を学びたいか。導入前に一度試し、準備・片付けや体験後の反応まで見ておくと、続けられる形が見えてきます。
介護分野におけるVR製品はまだ数が多くありません。利用者・入居者用の製品は楽しみながら続けられる「継続性」や転倒リスクなどに配慮した「安全性」、介護職員用の製品は実際の現場を疑似体験できる「リアリティ」、研修の学びを次に活かす「再現性」、それぞれの観点から適した製品を紹介します。