介護現場でのVR導入にあたり、映像刺激が「光過敏性発作」やてんかんを引き起こすリスクについて解説します。既往歴のある方への対応方針や、万が一発作が起きた際の正しい介助方法を把握しておきましょう。
VR機器を利用したレクリエーションでは、没入感の高い映像体験ができる反面、映像の刺激による健康リスクへの配慮が不可欠です。映像に含まれる激しい光の点滅(閃光)や特定の模様、大きな音などの刺激は、脳細胞の過剰な電気的興奮を招き、発作の誘因になることがあります。
Meta社をはじめとするVR機器メーカーも、公式の安全ガイドラインにて「MR(複合現実)コンテンツには、発作その他の症状を引き起こす可能性のある閃光やパターンが含まれる場合がある」と警告しています。
過去にてんかんや失神の既往歴がない方であっても、激しいめまい、目や筋肉のけいれん、失神、発作に見舞われるリスクがあるため、施設側はこれらの危険性を十分に認識しておく必要があります。
VRを安全に活用するためには、体験前に利用者の健康状態をしっかりと把握する仕組みづくりが重要です。特に、過去にてんかんと診断された方や、意識喪失、けいれんなどの発作を経験したことのある高齢者に対しては、より慎重な対応が求められます。
VRメーカーの指針でも、発作やてんかんに関連した症状の経験がある場合は「使用前に医師に相談すること」が強く推奨されています。そのため、施設としては問診票や事前の健康チェックシートを活用し、既往歴の有無を必ず確認するルールを設けましょう。該当する利用者については、施設内の看護スタッフや主治医の許可が得られるまでVRの使用を控えるといった、明確な安全基準を定めておくことが事故防止につながります。
万が一、VR体験中に利用者がけいれんや発作を起こしてしまった場合は、周囲のスタッフが落ち着いて適切な処置を行うことが大切です。発作時は、体を強く押さえて無理にけいれんを止めようとしたり、口の中に物を入れたりしてはいけません。
まずは利用者を危険な場所から安全な場所へ移し、周囲の障害物を遠ざけます。襟元がきつい場合は衣服を緩め、呼吸をしやすい状態を保ちます。同時に、時計を見て発作が始まった時間と持続時間を正確に記録してください。通常は数分で収まりますが、激しい全身のけいれんが5分以上続いて止まらない場合は、直ちに救急車を呼んで救急対応を行う必要があります。
介護向けVRは、利用者の機能訓練に使うものもあれば、職員教育や対応力向上に活用するものもあり、製品によって目的や使い方が大きく異なります。
そのため当メディアでは、「誰に使うか」という観点でVR製品を整理し、介護現場での活用方法や導入時のポイントを紹介しています。
自施設に合った介護VR製品選びの参考にしてください。
介護分野におけるVR製品はまだ数が多くありません。利用者・入居者用の製品は楽しみながら続けられる「継続性」や転倒リスクなどに配慮した「安全性」、介護職員用の製品は実際の現場を疑似体験できる「リアリティ」、研修の学びを次に活かす「再現性」、それぞれの観点から適した製品を紹介します。